

動物病院で力丸の診察を終えて待合室へ。
タオルにくるまれた白い猫の前で力丸が立ち止まった。「あらぁこんにちは」ニコニコ微笑むお母さん。
M「猫さん、犬は大丈夫ですか?」
S「病院ではネコかぶっておとなしくしてるから大丈夫よ」
隣に座るとそのコの話をしてくださった。右目はレモンイエロー、左目はライトブルー。
名前はしろっち。現在、推定3歳。もともと野良猫だった。
S「うちの庭で木登りするのが大好きでね。最初はなつかなかったの」
2年前の真夜中。玄関でしろっちが鳴いた。いつもなら勝手にあけて中に入るのに。不思議に思い玄関へ急ぐと、尻尾と後ろ足をダランとさせて前足だけで歩腹前進する姿が。その腰から下にはくっきりタイヤのあとがあった。交通事故っ。車にひかれたのだ!
慌てて動物病院へ電話。先生は夜中にもかかわらず診てくださった。
「下肢はもう機能しません。あと何日もつかわかりません。どうしますか?」と院長先生。
「安楽死は絶対にいやですっ」と言うと、先生は病院にいる半身不随の猫さんに会わせてくれた。
「排泄が思うようにできません。オシッコやウンチがつまって亡くなる事があるから気をつけてあげてください」
事故から1ヶ月。おむつをしても上手にとってしまう。トイレを準備してもそこではしない。垂れ流し状態だった。
部屋中を雑巾で拭いてまわった。家族から文句が出た。保健所に連れて行けとも言われた。
そうだ。もともと庭でしかトイレをしないコだった。試しに外へ出す。と、お気に入りの場所でオシッコをした。
これなら大丈夫だ。
不自由な下肢をドロだらけにしながら雨の日も風の日も庭でトイレをする。そのたびに丁寧に洗う。
ウンチがつまると病院で出してもらい、二人三脚で頑張ってきた。
「肩がこるみたいだからマッサージしてあげると喜ぶのよ」と笑うお母さん。
階段を逆立ちで上り下りするしろっち。よその猫を逆立ちで威嚇するしろっち。
時々大好きな木を見上げて登りたそうな顔をする、しろっち。
S「あれから2年。安楽死させなくて本当によかったわ」
グニャグニャの足をさすりながら微笑むお母さん。
「ンニャ?」 お母さんの顔を見つめながら何か囁くしろっち。
M「しろっち震えてますね?あ。アンヨまで震えてる。神経通ってますよ」
S「あら。本当ね」
しろっち、ステキな人と出逢えてよかったね。心温まるお話をありがとう。
また会いたいな。
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